クリニック開業後の集患に悩み、試行錯誤を繰り返している院長先生へ。
「多額の投資をして内装や設備を整えたのに、いざ蓋を開けてみると患者さんが来ない…」「チラシや看板を出してみたが、手応えが全く感じられない…」
このような不安を抱えている方は非常に多いです。
私はこれまで多くのクリニックのWebマーケティングを支援してきましたが、結論から申し上げます。
開業直後のクリニックが最優先で取り組むべきWeb集患施策、そのナンバーワンは間違いなく「リスティング広告(Google広告)」です。
今回は、なぜリスティング広告がこれほどまでに強力なのか、その仕組みから具体的な運用戦略、そして多くの人が陥りがちな予算の考え方まで、実務に基づいた私の主張を余すことなくお伝えします。

開業クリニックが最優先で取り組むべきWeb集患施策の正体
多くの院長先生から「SNSはやったほうがいいですか?」「SEO対策にお金をかけるべきですか?」といった相談をいただきます。
しかし、私はそれらの優先順位は後回しでいいと考えています。なぜなら、開業初期に最も必要なのは「認知」ではなく「確実な来院」だからです。
リスティング広告とは、Googleなどで検索した際に、検索結果の最上部に「広告」として表示されるテキスト広告のことです。
例えば、ユーザーが「新宿 内科」「近くの小児科」と検索したその瞬間に、自院の情報を提示することができます。
これは、SEO(自然検索)よりもさらに上の位置に表示されるため、ユーザーの目に留まる確率が最も高い場所を「買う」ことができる施策なのです。
広告枠を買うということは、結局お金をたくさん払った順に並ぶということでしょうか?
代表:阿久津いいえ、実はそう単純ではありません。Googleはユーザー体験を極めて重視しているため、単に予算を積めばいいわけではない仕組みを導入しています。それが「オークション形式」と「広告ランク」という概念です。


Google広告の心臓部「広告ランク」を理解する
リスティング広告の掲載順位を決めるのは、主に「広告予算」「品質スコア」「表示オプション」の3要素から成る「広告ランク」です。これを一言で表現するなら「広告のクオリティ」です。
Googleの目的は、検索したユーザーが満足することです。
「風邪」と検索した人に対して、全く関係のない美容整形の広告を出してもユーザーは喜びません。
そのため、検索キーワードと広告文、そしてクリックした先のWebサイト(ランディングページ)の内容が一致しているか、サイトの読み込み速度は速いか、ユーザーにとって有益な情報が載っているか、といった「品質」が厳密にスコア化されます。
品質スコアが高ければ、競合よりも低い予算で上位に表示させることも可能です。
逆に、サイトの作りが甘く、ユーザーがすぐに離脱してしまうようなページだと、広告ランクが下がり、1クリックあたりの単価が跳ね上がってしまいます。
私は、広告単体ではなく、その先のWebサイトまで含めて「ユーザーの悩みを解決できる導線」になっているかを常にチェックし、最適化を行っています。


なぜSNSではなく、検索エンジン(Google)なのか
「最近はみんなSNSで情報を探しているから、Instagramを頑張りたい」という先生もいらっしゃいます。
しかし、医療においては「検索」こそが最強の集客経路です。
- 潜在層(まだ困っていない人)
- この層は「風邪の予防法」や「健康に良い食事」などを調べています。SNSでの情報発信はここにリーチするには適していますが、今すぐの来院には繋がりません。
- 顕在層(今すぐ困っている人)
- この層は「今朝から熱がある」「喉が痛くて我慢できない」という緊急事態にあります。彼らが取る行動は、Instagramでおしゃれな投稿を探すことではなく、Googleで「発熱 外来」「近くの内科 予約」と検索することです。
体調が悪い時に、悠々とタイムラインを眺めている暇はありません。
だからこそ、今すぐなんとかしたい「顕在層」が必ず通るGoogle検索に広告を出すことが、最も効率的で即効性のある集患施策になるのです。
看板やチラシは、通りすがりの「潜在層」に対する認知向上には役立ちますが、今すぐ受診したい人を確実に捕まえるという意味では、リスティング広告の右に出るものはありません。


成果を最大化させる「刺さる」運用技術
リスティング広告は、ただ出せばいいというものではありません。そこには高度な「コピーライティング」と「ターゲット選定」の技術が求められます。
検索キーワードに対して、どのようなテキストを表示させるか。単にクリニック名を出すだけではなく、ユーザーの深層心理に働きかける言語化が必要です。
私はよく「現在地からアクセス○分」といった、ユーザーが直感的に「近い」「すぐ行ける」と感じるフレーズを盛り込みます。
また、Web予約が24時間可能であることや、スムーズな診察体制をアピールすることで、タップ率を劇的に向上させます。
さらに、想像力を駆使して症状別のキーワードを網羅することも欠かせません。
鼻水、咳、腹痛、頭痛など、患者さんが抱える悩みは多岐にわたります。これらを複数設定し、実際に運用しながら「どのキーワードが実際に予約(コンバージョン)に繋がっているか」を毎日分析します。
地域の絞り込みについても、何か特別な戦略があるのでしょうか?



もちろんです。クリニック経営において、商圏設定は生命線です。新宿にある内科が、日本全国に広告を出しても予算の無駄遣いでしかありません。
配信地域を市区町村単位、あるいはクリニックから半径数キロ圏内に絞り込むことで、広告の精度を極限まで高めます。感覚に頼るのではなく、データに基づいたマーケティングスキルを駆使して運用することが、成功への最短ルートです。


誰もが気になる「月50万円」の予算基準とその理由
運用を検討する際、最も多く受ける質問が「予算はいくらかけるべきか」という点です。
私は、開業直後のスタートダッシュであれば、月額50万円を一つの基準として提示しています。
50万円というのは、かなり高額に感じますが…
少額から始めるのではダメなのでしょうか?



これには明確な理由があります。Google広告は「データの蓄積」が早ければ早いほど、その後の運用が安定するからです。
月10万円でちびちびと数ヶ月かけてデータを集めるよりも、50万円を投下して短期間で「どのキーワードが勝ち、どのキーワードが負けか」を確定させるほうが、結果的にトータルの広告費を抑えることができます。
月50万円を30日で割ると、1日あたり約1万6,000円です。獲得単価(1人の来院を得るためのコスト)が3,000円だとしても、1日5人は新規患者を呼べる計算になります。
実際、私の運用では内科系であれば獲得単価を1,000円前後に抑えることも多いため、1日15人〜20人といった単位で新規来院を創出することも可能です。
また、リスティング広告は「クリック課金制」です。表示されるだけでは料金は発生せず、クリックされて初めて費用がかかります。
この仕組みを理解し、1日あたりの予算を戦略的に配分することが重要です。
休診日の夜に広告を再開させるなど、細やかな調整によって投資対効果を最大化させています。


キャッシュフローとリスクマネジメントの視点
リスティング広告の導入をためらう理由に「先出しの費用への不安」があるかもしれません。
しかし、リスティング広告は基本的にクレジットカード決済です。広告を通じて来院した患者さんが窓口で現金を支払えば、その売上は即座に手元に入ります。
一方で、広告費の引き落としはカードの決済日になるため、実はキャッシュフローの面では「売上が先、支払いが後」という非常に有利な構造を作ることができるのです。
ただし、注意点もあります。
広告が成功しすぎて患者さんが殺到し、現場が混乱してしまうケースです。



実は以前、広告で呼びすぎてしまい、待ち時間が長くなりすぎてGoogleの口コミに「星1」がついてしまった事例がありました。
これはクリニックにとって大きな負債になります。
私は単に数字を追うだけでなく、Googleの口コミを常にチェックし、現場の状況を俯瞰して見ています。
「先生、少し現場が混乱していませんか? 一旦、このキーワードの予算を抑えましょう」と、ブレーキをかける提案をすることもあります。
手数料を稼ぐことだけを考えれば広告費を上げさせたほうが私の利益になりますが、私は先生と長期的なパートナーシップを築きたいと考えています。
クリニックのブランドを守りながら、持続可能な形で集患を最大化させる。それが、プロの運用者に求められるバランス感覚です。


PDCAを高速で回し、成功を確実なものにする
Web集患は、一度設定して終わりではありません。
特に広告開始から3ヶ月間は、数字が安定しにくい時期です。私はこの期間、毎日のように数値をチェックし、異常があれば即座に改善策を講じます。
「獲得単価が想定より上がっている。ページの内容を修正しよう」
「この時間帯は反応が悪いから、配信をカットしよう」
「新しい競合が出てきたから、対抗するコピーに変更しよう」


このように、PDCA(計画・実行・評価・改善)を猛烈なスピードで回し続けることで、成功の精度を高めていきます。
私はご紹介でご依頼をいただくことが多いのですが、それはご紹介者の顔を潰さないよう、常に最新の知見を取り入れ、泥臭く数字と向き合い続けている結果だと自負しています。









