こんにちは、あくつです。
私は、クリニックのウェブマーケティングや経営支援を専門としていますが、仕事をする中で、先生方から相談を受け、「それは即NGです」と断言せざるを得ない案件に遭遇します。
その中でも、特に経営リスクが高く、絶対に手を出してはいけない危険な取引があります。それが、今回徹底的に解説する「ドメイン貸し」です。
これは一見、「何もしなくても収入が得られる」という甘い罠に見えますが、その実態は、クリニックのウェブサイトを根底から崩壊させ、Googleから厳しいペナルティを受ける原因となります。
この記事では、この「ドメイン貸し」の実態を徹底的に解剖し、なぜ私が即座にNGを出すのか、そして万が一既に契約してしまった場合の最短最速の対処法まで、詳しくお話ししていきます。

危険な甘い罠!「ドメイン貸し」の実態とは?
私の経験上、クリニックの先生方に持ち込まれる案件の中で、最も危険度が高いのがこのドメイン貸しに関する提案です。
ドメイン貸しが指す行為の定義
まず、ドメイン貸しとは具体的に何を指すのでしょうか?
ドメイン貸しとは、クリニックが保有するウェブサイトのドメイン(例:○○clinic.com)の一部を、クリニックの診療内容やターゲットとは全く関係のない第三者の業者に有料で貸し出す行為を指します。
具体的には、クリニックのサイト内にサブディレクトリー(例: clinic.com/affiliate/)やサブドメイン(例: shop.clinic.com)といった形で領域を設け、その領域に外部業者がアフィリエイト目的のページを作成するという構図です。
例えば、内科のクリニックのドメインを借りた業者が、「顔パック」や「腰痛改善ローラー」といった健康器具や美容商品の販売ページを設置する、というような極端なケースが起こります。
この取引は「成果報酬型」で持ち込まれることがほとんどです。
成果報酬で、このページから売れたらいくらお支払いしますよと。ドメイン貸すだけだから何もしなくていいですよ、みたいな感じですか?
代表:阿久津そうです。一見その『何もしなくても収入になるんだったら』って貸しちゃいそうな感じありますよね。そうなんです。美味しい話に聞こえちゃいますよね。
業者は「何もしなくても収入になる」と甘い言葉で誘いますが、この「ノーリスクで儲かる」という話こそが、最大の罠なのです。


Googleが「スパム」と認定する構造的理由
数年前まではグレーゾーンだったこの行為が、今はGoogleによって明確に「スパム」行為と認定され、厳しいペナルティの対象となっています。
なぜGoogleはこれを嫌うのでしょうか? それは「ユーザーの混乱を招く」からです。
クリニックのウェブサイトは、本来、医療に関する情報提供と集患のためのものです。
しかし、そのサイトの中に突然、「腰痛ローラーが売れるページ」や「美容パックのレビューページ」といった関連性の低いコンテンツが混在すると、サイト全体のテーマがブレてしまい、Googleの評価軸が定まらなくなります。
Googleの企業理念は「ユーザーに良い体験をしてもらうこと」です。
クリニックの強いドメインの評判を、無関係な業者が悪用し、ユーザーを混乱させるドメイン貸しは、その理念に真っ向から反するため、ペナルティの対象となるのです。


Googleがチェックする二大スパム判定基準
ドメイン貸し以外にも、近年、特に注意すべき二つの大きなスパム判定基準があります。
基準1:サイトの「評判」を悪用する行為
一つ目は、先述の通り「ドメイン貸し」に代表される、サイトの評判悪用です。
クリニックのドメインは、専門性や権威性が高く、SEO上、非常に強くなりやすい特性を持っています。業者は、その「親」の評判を利用し、「子供」(アフィリエイトページ)で不当に検索順位を上げようとします。
これは、本来内科クリニックに来たい患者さんではなく、美容や腰痛に興味がある人を無理やり内科クリニックの導線に呼び込む行為であり、ユーザーにとっても、Googleにとっても、全くメリットがありません。
基準2:生成AIが生んだ「大量コンテンツ」問題
二つ目は、近年生成AIの進化によって顕在化した問題です。



もう一つが大量に生成されたコンテンツの仕様です。これ、最近できた規制だと思っています。
生成AIとかそういう話ですか?



そうです。まさにその通りで、AIができたので、ページを作るコスト的にも労力的にも楽になったんですよ。その結果、『大量にページを作って大量にアップロードすればSEO取れるんじゃない?』という考えが広まりました。
しかし、AIの誤情報(ハルシネーション)が含まれたり、質の低い内容のページを何十、何百と一気に公開することは、Googleにとって「悪質である」と見なされます。
私の理解では、生成AIを使ったかどうかという点よりも、「本当にそんなに大量のページが必要なのか?」という観点から見て、品質の低いページを一度に大量にアップロードする行為そのものが、スパム認定される可能性を高めます。
「数さえ増やせば勝てる」という考え方は、Webの世界ではもはや通用しないのです。


致命的なリスク!クリニックのウェブサイト崩壊プロセス
ドメイン貸しは、ウェブサイトにとって「親のページですら下げられる」という致命的なリスクを伴います。
親ドメインすら巻き込むペナルティ
ドメイン貸しを提案する業者は、短期的な利益を享受できます。
しかし、クリニック側には長期的に見てメリットは全くありません。
アフィリエイトを一度でも許してしまうと、「あそこはドメインを貸している」という情報が広まり、他の業者も次々にドメイン貸しを要求してくるようになり、「客寄せパンダ」のような状態に陥ります。
そして最も恐ろしいのが、Googleのペナルティです。



それを受けちゃったクリニック側に関しては、親のページですら下げられちゃうっていうペナルティをやられちゃったらもう終わりです。
親ドメイン(クリニック本体のページ)の信頼性も失墜し、ドメイン全体の検索順位が著しく下げられるという措置を受ければ、本来の集患のためのSEO効果は一瞬で崩壊します。
これは、「息子(アフィリエイトページ)に足引っ張られてますね」という悲惨な状態です。


サブドメインならバレない?甘い誘いを断ち切る
ドメイン貸しを回避しようと、業者が「サブドメインならバレませんよ」と提案してくることがあります。しかし、これも全く通用しません。
- サブディレクトリー(例: clinic.com/shop/)
- 親ドメインとの関係性が一目で分かります。
- サブドメイン(例: shop.clinic.com)
- 一見独立したサイトに見えますが、Googleは膨大なデータと機械学習によって、この「名前を変えた親子の関係」を正確に把握しています。



やっぱりGoogleも大量のデータを持ってるので、おそらくこういう傾向があるとか、機械学習とかで組み込んでいるんじゃないかなって思っています。賢いですよ。
「名前を変えてもあなたが親ですよね」という事実は、Googleは見抜いているのです。怪しい手法はすぐに通用しなくなります。


万が一契約してしまった場合の最短最速対処法
「既に契約してしまった」「話に乗ってしまった」という先生方も、まだ間に合います。
最短最速で対応し、それ以上の被害を防ぐことが最優先です。
ステップ1:契約解除とページの削除
まず行うべきは、即座に業者との契約を解除することです。



もうやっちゃったよという方はですね、もう直ちに、そこの契約を解除していただき、そのページを削除してください。
ページを削除するだけでなく、Googleの検索結果からそのページを除外する設定を行うことが非常に重要です。
これは「ノーインデックス」設定と呼ばれ、「Googleの図書館にこのページを入れないでください」とGoogleに伝える措置です。
ステップ2:業者との交渉テクニック(冷静さが鍵)
契約解除の際、業者が「契約違反だ」と強硬な態度を取ってくる可能性もあります。
その際、感情的になって「聞いてなかった」などと無用な争いを起こすのは避けるべきです。



決してそこの業者さんにこういう風になっちゃうのなんか聞いてなかったなんて言っちゃだめですよ。変な争いになっちゃうので、そこは冷静に『やめます』と伝えましょう。
もし契約が理由で完全に削除できない場合は、せめて「ノーインデックスにさせてください」と強く交渉しましょう。
これは業者にとっては致命傷となる要求ですが、クリニックの未来を守るための最低限の防衛策です。
それでも交渉が難航し、リスクが避けられない場合は、残念ながら「勉強代」だと思って全てのリスクを受ける覚悟も必要になります。


結論:信頼を守るために、誘惑には即「NO」を
ドメイン貸しの提案は、業者にとってはメリットしかありませんが、先生方にとっては計り知れないリスクしかありません。
Googleは全世界のデータを持っており、「ユーザーにいい体験をしてもらう」ことを企業理念としている以上、怪しい手法に対しては必ず措置を講じてきます。
もし、今後「ドメインを貸してください」「サブドメインならバレません」といった甘い言葉が届いたら、その言葉に耳を傾けずに即断る勇気を持ってください。
クリニックのウェブサイトは、先生方の信頼と信用を築き上げるための基盤です。
その基盤を、一時の利益のために危うくすることだけは避けるべきです。
この情報が、先生方のクリニック経営の安全に繋がることを願っています。









